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The Renaissance in historical thought [Historians & History]

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Wallace K. Ferguson
The Renaissance in historical thought. Five centuries of interpretation(Reinassaince Society of America reprint texts 16)
Tronto: Universityof Tronto Press 2006(originally 1948), 429p.

1. The early humanist tradition in Italy
2. The humanist tradition as altered by Northern humanism and the Reformation
3. The later humanist tradition and the crystllization of cencepts
4. The rationalist tradition in the eighteenth century
5. The romantic reaction
6. Conflicting trends and the beginnings of a periodic concept
7. Burckhardt and the formation of the modern concept
8. The Burckharditan tradition in the interpretation of the Italian Renaissance
9. The tradition interpretation of the Renaissance in the North
10. Reaction against the Burckhardian tradition: the origins of the Renaissance thurst back into the middle ages
11. The revolt of the medievalists. The renaissance interpreted as continuation of the middle ages
12. Conclusion

Bibliography
Index

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今月24日に開催される西洋中世学会のシンポジウムは「中世とルネサンス」。大変古典的なテーマである。しかし大上段に構えた空中戦ではなく、各ディシプリンから力量ある研究者がテクストに基づく個別研究をもって両時代概念の間に横たわる連続/断絶を検証する、ようである。

以上の問題を考える上で基本書となるのがファーガソンの古典であろう。中世と近代の狭間に位置する「ルネサンス」という概念を歴史学的に通用する概念として鍛え上げたのがブルクハルトであることは誰でも知っているが、そのブルクハルトが定位した概念が思想史的にどのように生成しその後どのように展開していったのかを跡づける作業は、まさに本書によって試みられた。アメリカルネサンス協会が復刊叢書の一冊に組み込んだのも宜なるかなという内容である。

時代区分は事後の構築的な、場合によっては恣意的な作業に過ぎない。古代・中世・近代・現代といった大きな枠組みにとらわれずとも、研究上は、5世紀とか10世紀とか1453年とか1789年とかいっておけば何の不都合もない。しかし、歴史の変化は、常に同じペースで進むわけでなく、ある特定の時期に、それ以前の時代とは断絶といっても良いような大変革が起こる(と信じられている)。その特定の時期以前と以後を、古代/中世、近世/近代といった枠組みで歴史認識をおこなうのが歴史学の一つの役割であり得た。そこには歴史の流れをわかりやすくかつ大きく捉えたいという人間の歴史哲学的な認識要求があるのだと思う。西洋中世学会のシンポジウムがこの認識論的な問題にどこまで踏み込むのかわからないが、愉しみにしておきたいと思う。

ついでながら、時代区分という大きな問題に踏み込むファーガソンの著作は、ただルネサンス学者のみならず、過去に関心を持つすべての人間にとって示唆的な研究書である。版権も切れているだろうし(ひょっとするとアメリカは70年だったかな?)、こころある出版社は是非翻訳を計画していただければと思います。ルネサンスの事象説明書はたくさんあるけど、ルネサンスの解釈史は日本語でそれほどないでしょ。

本書の最終章は「中世学者の反乱」。ブルクハルト以来、ルネサンスという概念を用いて、中世を暗黒の時代と見なす向きに対し、中世学者がどのような反論を試みてきたのかを詳述する。出発点は言うまでもなく『12世紀ルネサンス』のハスキンズ。国民国家意識もロマン主義も関係ないアメリカだからこそこのような見方が生まれたという指摘は興味深い。そしてハスキンズ以降の文学史、美術史、哲学史、科学史といった文化史(一般史から見た言い方だが)にみられる中世再評価の動きを戦後に到るまで整理する。

本書は60年以上前に刊行された古典であり、ルネサンス評価の動きもその後揺れ動いている。それは日本語でもピーター・バーク『ルネサンス』をはじめとするいくつかの著作で確認できる。なお、このファーガソンの著作を念頭に、12世紀ルネサンス論の現状を整理したのが、

Leidulf Melve, "The revolt of the medievalists’. Directions in recent research on the twelfth-century renaissance", Journal of medieval history 32-3 (2006), 231-52.

ファーガソンの本と併読すべきは、解釈史上のテクストを英訳集成した、

Denys Hay ed. The Renaissance debate(European Problem Studies), New York: Holt, Reinhart and Winston 1965, 122p.

こちらは復刊されていないので古書で落手すべし。

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