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アングロ・サクソン法典 [Sources in vernacular]

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大沢一雄著
アングロ・サクソン(=古英)法典 法文の言語(古英語、一部ラテン語)の邦訳と注解
朝日出版社 2010年 x+531頁

言語、法典、年代記、辞書、その略号及び参考文献
まえがき

- ケント王族の系譜
- エセルバート法典
- フロスヘレおよびエアドリク法典
- ウィフトレッド法典
- ウェセックス王族の系譜
- イーネ法典
- アルフレッド法典
- ウエスト・サクソン王アルフレッドのデーン軍との戦い
- デーン人の王グズルム
- エドワードおよびグズルムの法律
- エドワード法典
- アゼルスタン法典
- エドマンド法典
- エドガー法典
- エセルレッド法典
- カヌート法典

あとがき

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書店には実際に足を運んでみるものである。たまに、本書のような恐るべき本が、何の前触れもなく並んでいる。その専門性ゆえに発行部数もおそらく多いとはいえないだろうから、知らないうちに棚から消えていくだろう。イングランドや初期中世に関心のある人は今のうちに購入しておくべきである。いまなら5千円程度で手にはいるが、これが5年後には3万円とかになりかねない。カントロヴィチやオストロゴロスキーがそうなったように。

1066年のノルマン征服以前に、イングランドで出された法文の対訳である。大陸法と異なりアングロサクソン法は、多くのものが俗語つまり古英語で書き記されているという特徴を持つ。20世紀初頭の刊行ながら、いまなおすべての研究者が参観するフェリックス・リーバーマンのテキストを底本とし、逐語訳をつけ、さまざまな注釈書から言語学的に必要な注釈をまとめている。すこぶる便利な本である。

法の研究などやりつくされていると思っている人が多いかもしれないが、アングロサクソン法に限っては、そうではない。イングランド法の泰斗であるメイトランドもこれだけは手をつけなかった。メイトランド以来百年ぶりにあらわれた法の専門家ワーモルドは、二巻本のうち一冊だけ研究書を残し、早世した。断片的に利用している歴史家はもちろんあとをたたないが、アングロサクソン法が全体としてどのような体系を持った法であるのかを論じきれる研究者はいないのである。

…よく考えたら、初期中世のゲルマン法を全体として論じることのできる研究者もまたいなかった。著名な『サリカ法典』や『フリースラント法典』の研究もまた、私たちが思っているほど蓄積があるわけではない。法というのはその規範性ゆえに、当時の社会の現実をどれだけ反映しているのかわからないという難しさがあるからである。このあたりはまことに難しい。残っているのだからなんらかの現実をそのテクストの中に読み込まねばならないが…。

著者については全くといっていいほど知らなかったが、古英語の専門家のようである。



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