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中世ヨーロッパの教会と俗世 [Medieval Spirituality]

中世ヨーロッパの教会と俗世.jpg
フランツ・フェルテン(甚野尚志編)
中世ヨーロッパの教会と俗世(山川レクチャーズ)
山川出版社 2010年 150頁


フランツ・フェルテンと中世教会史研究(甚野尚志)

12世紀の修道会と修道女 プレモントレ会、シトー会と敬虔な女性たち
ひとつ屋根の下の教会と俗世 ドイツ中世における聖堂参事会
アヴィニョン教皇庁の実像 聖職禄授与政策とその影響

読者のための参考文献
フランツ・フェルテン主要著作

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2008年3月に来日したフェルテンの講演録。当日の報告原稿はかなり分量があったが(したがって拝聴時間も結構なもので疲れたが)、出版にあたって、縮めた模様。

わたしのような初期中世に関心のあるものにとっては、Äbte und Leienäbte im Frankreich. Studien zum Verhältnisse von Staat und Kirche im früheren Mittelalter, Stuttgart 1980の著者として知られる。「Leienabte俗人修道院長」という奇妙な存在は大陸特有のもので、以前イングランドの専門家が「何それ」と言うので、「アインハルトみたいなやつ」と言っておいた。フェルテンはいかにもドイツの中世史家らしく、出発点は初期中世であったにもかかわらず、いまや中世後期の専門家である。教授資格論文は『パリとアヴィニヨン』(未刊行)。どこかで聞いたようなタイトルである。

聖職者組織には、教会と修道院がある。原則として、教会は司牧を通じて世俗に介入し、修道院は修道誓願をつうじて世俗と袂を分かつ。このようにすっぱりと割り切れたら説明も楽なのだが、その後、ルイ敬虔帝治世の816年、メッツ司教クロデガングによる参事会会則に従う聖堂参事会なるものが出現する。フェルテンの記述にしたがえば、「修道生活を理想としながら、司牧活動の任務にも従事した聖職者の集団組織」(65頁)。…なにそれ。

さらに問題を複雑にするのが、1059年のラテラノ教会会議で導入された、聖職者による財産の共有である。これを受け入れた聖堂参事会は、通常律修(修道)参事会と呼ばれる。使徒的生活(vita apostolica)と共住生活(vita communis)が中核的理想である。律修参事会は、当初、アウグスティヌス戒律を採用し、統一的に、アウグスティヌス律修参事会として括られた。イングランドのセンプリンガムやパリのサン・ヴィクトルが著名である。ここまで書いてよくわからなくなったのだが、教会組織と聖堂参事会というのは同じなのか、違うのか(多分違うんだろう)。あと、律修参事会は修道誓願をするのか、しないのか(多分しないんだろう)。とても基本的なことだけど、よくわからない。

なんにせよ、プレモントレ会、聖堂参事会、アヴィニヨン教皇庁という、日本ではあまり研究のない分野に関する専門家の講演である。専門的ではあるけれど、教会史に対する基本的な知識があれば愉しめる。すくなくともわたしは結構な勉強になった。

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