So-net無料ブログ作成

Mother of God [Medieval Spirituality]

Mother of God.jpg
Miri Rubin
Mother of God. A History of the Virgin Mary.
London: Allen Lane 2009, xxvi+533 p.

List of illustrations
List of maps
Acknowledgements

Writing about Mary: an introduction

Part 1: From temple maiden to the bearer of God: to the Year 431
1 The earliest glimpses of Mary
2 Mary in a Christian empire
3 Versions of Mary
4 Mary of the imperial state

Part 2: From the eastern Mediterranean to the Irish sea: to the year 1000
5 Mary of the Christian empire
6 Beyond the Greek world
7 The emergence of European Mary

Part 3: The emergence of Mary’s hegemony: 1000–1200
8 Mary of the cloister
9 Mary of polemic and encounter
10 Abundance and ubiquity

Part 4: Mary, local and familiar: 1200–1400
11 Mary in liturgy, song and prayer
12 Mary, the friars, and the Mother tongue
13 Teaching Mary in parish and home
14 Mary’s miracles as reward and as punishment
15 Mary at the foot of the cross
16 Mary and women, Mary and men

Part 5:Mary as queen and reformer: 1400–1500
17 Mary the sublime
18 Mary: unlike any other
19 Mary of parish practice and family life
20 Mary: a world of devotional possibilities

Part 6: Mary reformed, Mary global: 1500 and beyond
21 Mary of reform and reformation
22 From Europe to the rest of the world
23 Mary in a world of neighbouring diversity

After Mary: a conclusion

A few comments on scholarship and reading
Notes
Index

* * * * * * * * * *

中世史家による最新のキリストの母ちゃん論。著者はケンブリッジ大学の中世キリスト教社会史の権威であり、『ケンブリッジ版キリスト教史』第4巻(中世後期)の編者でもある(初期中世の3巻に比べるとページ数がやけに少ない)。ケンブリッジには、彼女のほかに、ロザモンド・マッキッタリック、エリザベス・ヴァン・ハウツ、アン・アブラフィア、ノラ・ベレンドといったような女性中世史家が在籍する。なお、ルビン、アブラフィア、ベレンドはユダヤ教徒である。

マリアについて聖書に書かれていることは必ずしも多くない。にもかかわらず、中世を通じてマリアに奉献された教会はおそらく最も多い。これは中世においていかにマリアの人気が高かったかを示すものであるが、しかしながらその人気は時代によって変化したことを歴史学はわたしたちに教えてくれる。つまり初期中世は必ずしも聖人としてのマリアに対する人気は高くなく、むしろその地方独特の聖人のほうが崇敬対象としては一般的であった。その流れが変化するのは、本書の第3部で論じられるように、12世紀である。もっとも著名なのはクレルヴォーのベルナールの思想であろうが、彼のみならず、マリアに対する訴えかけは中世社会に広まっていたようである。このあたりの議論は、キャロライン・バイナムが独走している。

著者も明言しているように、本書は学際を志向したものである。学際と言っても、カルチュラル・スタディーズのような訳のわからないものではなく、文学とか音楽学とか典礼学とか美術史学というような、文献学という共通の土台のある専門からの情報摂取である。とくに第4章。

日本語で読める聖母に関する本は必ずしも少なくない。少なくとも次の二冊は中世史家とキリスト教史家によるもので、学術的価値が非常に高い。必読。ただし絶版なので、古書店か図書館で入手する必要がある。
クラウス・シュライナー(内藤道夫)『マリア 処女・母・女主人』(法政大学出版局 2000年)(…副題はどうにかならんのか)
ヤロスラフ・ペリカン(関口篤訳)『聖母マリア』(青土社 1998年)

なお本書も、バートレットウィッカムヴァイキング本と同じくペンギン・ブックスの一つ。幅広い読者層を想定しているため、最新の専門的知識を盛り込みながらもリーダブルである。小学館とか講談社とか中央公論社とか新潮社とか、そういった大手が、仕事のトロい学者ではなくきちんとした翻訳家にお願いして日本語版にしてもらうような、そんな本である。…一般向けの本であっても、注は絶対落としてはいけません。



共通テーマ:学問

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。