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ドイツ法制史概説(改訂版) [Classics in History]

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ミッタイス=リーベリッヒ(世良晃志郎訳)
ドイツ法制史概説(改訂版)
創文社 1971年 600+70頁

凡例
日本語新訳版への序文
第11版への序文
第5版への序文
第4版への序文
第3版への序文
初版への序文
略記号

序論
第1章 ドイツ法制史の課題
第2章 ドイツ法制史の方法

第1部 ゲルマン時代
第3章 最古の法形成
第4章 ジッペと家
第5章 経済の法秩序
第6章 人民の身分
第7章 国制
第8章 王制・将軍制・従士制
第9章 違法行為の効果
第10章 訴訟

第2部 フランク時代
第11章 ゲルマン人の建設した諸帝国
第12章 中世初期の経済と社会
第13章 フランク帝国の国制
第14章 フランク帝国の行政
第15章 裁判制度
第16章 レーエン制の成立
第17章 イムニテート
第18章 フランク時代の法源
第19章 刑法と訴訟法
第20章 カーロリンガ帝政

第3部 中世盛期
第21章 ヴォルムスの協約にいたるまでの国制史
第22章 続き、シュタウフェン朝時代の終わりまで
第23章 王位の継承
第24章 王権と貴族権
第25章 神聖ローマ帝国
第26章 帝国の付属国
第27章 レーエン制
第28章 行政と司法
第29章 経済
第30章 身分
第31章 法源
第32章 国民国家の形成

第4部 中世後期
第33章 帝国の国制
第34章 裁判権
第35章 ランデスヘルシャフトとランデスホーハイト
第36章 裁判制度
第37章 法源
第38章 刑法と訴訟法

第5部 近世初期
第39章 基礎
第40章 ローマ法の継受と宗教改革
第41章 帝国の国制
第42章 ラント
第43章 民事訴訟と刑法

第6部 市民時代
第44章 帝国の終焉とドイツ同盟
第45章 主権的同盟諸国家
第46章 19世紀の経済と社会的発展
第47章 帝国の建設と第二帝国
第48章 帝国の終焉とヴァイマール共和国
第49章 法思想と司法
第50章 千年帝国
結語

旧訳への訳者あとがき
新訳への訳者あとがき
原語索引

Heinrich Mitteis
Deutsche Rechtsgeschichte. Ein Studienbuch, neubearbeitet von Heinz Lieberich, 11. Aufl.
München 1969

* * * * * * * * * *

学部の頃は難しい本だと思ったが、今は通読できる。樺山の『ゴシック世界の思想像』と同じで、内容についての知識が増えれば、その本全体の構造と意図(と問題点)がはっきりと浮かび上がるからであろうと思う。

法制史の講座が減り続ける今、読む人はいないのかもしれない。中世に関心があるならばかならず手元に置いておかねばならない本であるにもかかわらず、絶版である。もちろん内容は旧い。法制史の人に言わせれば、もはやドイツでも教科書としては使われていない。にもかかわらず、ドイツの国制を日本語で通覧できるのは本書を置いて他なく、さらに言えば、世良が苦労してあてた法制用語は知的財産である。それゆえに本書は、永遠の書架の友である。

昔から不思議に思っていたが、法制史の人は、中世盛期や後期を専門としていても、なぜかフランク王国にも手を伸ばす。それは別に手遊びではなく、かなり本格的な作品である。一般史で同じことをやると、だいたい失敗する。なぜ法制史はこのような時代を越えた作業が可能なのであろうか。もちろん研究者本人が双方で通用するくらい勉強しているということもあろうが、彼らの目には、フランク時代も中世後期も同じような色に見えているのではないだろうか。ホイジンガが「色調」と呼んだものが、法制史の世界では見えないのではないだろうか。それが良いことなのか悪いことなのか何とも言えないけれど。もう一つ不思議に思っていたのは、ドイツ法制史やフランス法制史はあるのに、ヨーロッパ法制史はほとんど書かれていないことである。

本文が600頁ある。個人訳としては結構な分量である。しかし私たちは本書がまだワープロのない時代に用意されたことを思い起こさねばならない。すべて手書きである。清書した最終稿をもとに版も組まねばならない。どれほどの時間が必要であっただろうか。先日あるところで話題になったが、ワープロ時代の現在、作家の草稿研究など出来はしなくなった。

ハインリヒ・ミッタイス(1889-1952)はミュンヘン大学教授。本書の近世部分の増補は弟子であるリーベリヒがおこなった。このような子弟による知識の継承はドイツの教科書や辞書では珍しくない。教科書は、ただ個人の作品であるにとどまらず、人類の知的遺産という共通了解があるからであろうか。ドイツはローマ法を継受したように、知識も継受する。

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