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Viking Rus [Medieval Scandinavia]

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Wladyslaw Duczko
Viking Rus. Studies on the Presence of Scandinavians in Eastern Europe(The Northern World 12)
Leiden: Brill 2004, xiii+290

List of Illustrations
Preface
Introduction

Ch. 1: The Rus and Scandinavia : the case of the Rhos in Ingelheim A.D. 839
Ch. 2: People, places and things in the first "land of Rus" in the East
Ch. 3: The Rus and their culture
Ch. 4: The upper Dnieper
Ch. 5: The Volga-Oka region
Ch. 6: Towards the Rus state

Summing up and concluding
Bibliography
Index

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そろそろ東のほうについて準備しなければならないので、再読。著者は長年ウプサラ大学で教鞭をとった考古学者。いまは母国ポーランドに帰ったようだ。今回は関連史料にすでに目を通しているので、初めて読んだときは気づかなかった本書のよさや逆に歴史学的な粗がわかる。いずれにせよ第一線の考古学者による、東のヴァイキングを知るための基本書である

いまでこそ東方世界と北欧は政治的にも文化的にも別の世界として截然と分けられているが、12世紀以前は必ずしもそうではない。仮に北欧と東欧を言語で分けたとして、それは往来の障壁とはなっていない。北欧人は傭兵や商人として容易に東方世界へ分け入り、東欧人も北欧へやってきた。本書で取り上げられた遺跡や遺物はそう語っている。そして文献史料に残る証言も、エリートに限られはするが、両世界の宮廷の行き来を認めている。クヌートの宮廷にduxの称号を持つスラブ君侯が滞在したことや、ノルウェー王となるハーラル苛烈がヤロスラフ賢公の宮廷に侍していたことはそれほど強調されないが、スカンディナヴィア・ネットワークを考える上で、決して外せない事実である。。角谷の書物小澤による論考はそこに目をつけた。なお開拓の余地の残る分野である。

本書が収められる「The Northern World」は、中世北ヨーロッパ世界に関心を持つものであれば必ずチェックしなければならないラインナップである。ギリシア・ローマ文明の遺産があり、各国が研究所を構える地中海世界の研究叢書は、それこそ英米独仏伊といった各国単位で刊行されているが、それとは対照的に北についてはなかった。このシリーズで特筆すべきは、北欧関係の博士論文の英訳が収められていることである。五カ国合わせて人口2千数百万程度の北欧で生産される研究は必ずしも多くないが、その中でインパクトのあるものが学術公用語で紹介されることにより、北欧史に対する無知と誤解はしだいに軽減されていくことだろう。

しかし値段設定は何とかならないのか。図書館が買い上げればいいという、中央公論美術社方式である。出版当時、あまりに高いのでとりあえず母校に買ってもらい、それを複写して使っていた。この前たまたま古書市場に新品で安いものが出たので買ったのだが…。

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