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修道院文化史事典 [Medieval Spirituality]

修道院文化史事典.jpg
P・ディンツェルバッハー&J・L・ホッグ(朝倉文市監訳)
修道院文化史事典
八坂書房 2008年 542頁

まえがき
序章 修道制と文化:I 中世/II 近世以降(P・ディンツェルバッハー&J・L・ホッグ/朝倉文市・小川宏枝訳

第1章 ベネディクト会(U・ファウスト/石山穂澄・朝倉文市訳)
第2章 シトー会(P・ディンツェルバッハー&H・ヨーゼフ・ロート/平伊佐雄訳)
第3章 カルトゥジア会(J・L・ホッグ/梅津教孝訳)
第4章 アウグスチノ修道参事会(H・ショプフ/谷隆一郎訳)
第5章 プレモントレ会(L・ホルストケッター/富田裕&朝倉文市訳)
第6章 病院修道会(J・ザルノフスキー/梅津教孝訳)
第7章 騎士修道会(J・ザルノフスキー/岡地稔訳)
第8章 フランシスコ会とクララ会(L・レーマン/伊能哲大訳)
第9章 ドミニコ会(M・ロールム/山本耕平訳)
第10章 カルメル会(G・フォン・ブロックフーゼン/山崎裕子訳)
第11章 アウグスチノ隠修士会(V・エッカーマン/谷隆一郎訳)
第12章 イエズス会(A・ファルクナー/富田裕訳)
第13章 東方正教会の修道制(W・ヘラー/谷隆一郎訳)

参考文献
主要修道会の体系的分類表
主要修道会略号表
索引(修道会名/人名)
監訳者あとがき

P. Dinzelbacher & H. I. Hogg eds.
Kulturgeschichte der christlichen Orden im Einzeldarstellungen.
Stuttgart: Alfred Körner 1997

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修道院事典として優れた本。通常の修道院史であれば、ベネディクト会→シトー会→托鉢修道会→イエズス会というような発展段階論的記述をとるが、本書は、修道会ごとの整理をおこなっているため、そのような修道院正史から零れ落ちるデータをうまく掬いとることができる。文化史と銘打つだけあって、典礼や建築といった具体的な活動にも十分なページを割き、通読も苦ではない。わたしに精神的苦行を強いたオストロゴルスキーとは大違い。ただし、決して網羅的なデータではないので、あくまで入門である。講義の準備には絶大な威力を発揮する。

どういうわけか、歴史学の中にドイツの修道院研究はなかなか入ってこない。ミュンスター学派など、もとをただせばまるまる修道院研究なのだが、なぜか紛争解決のアルトホフばかりが強調される。ちがうっつーの。本来であれば、早い段階でヨアヒム・ヴォラーシュのクリュニー研究が翻訳されるべきであったが、そうはならなかった。もちろんその成果の一部は、関口武彦甚野尚志、杉崎泰一郎らの著作に反映されているが、若手でもっといてもよいように感じる。死者記念祷(libri memoriales)や修道院慣習律(consuetudines)研究など、なんだかもう終わったような空気があるが、ぜんぜん終わっていません。

さて、日本では騎士修道会を騎士団とする。騎士団のほうが表現としてしまっているし、それで問題はないのだが、騎士団の本質は誓願を立てた修道士からなる修道会である。けっして夜盗のごとき騎士の群れではない。高校や教養課程の教師たちは、これをどのように理解し、どのように教えているのだろうか。「キリストの軍隊 militia Christi」という側面ばかり強調しているとしたら問題である。それでは彼らがなぜ辺境に成立したのか、その理由の半ばしかわからない。ドイツ騎士修道会に関しては阿部謹也の唯一のモノグラフにして名著がある。

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