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Gyldendals bog om Danmarks historie [Medieval Denmark]


Ole Feldbæk
Gyldendals bog om Danmarks historie
København: Gyldendal, 2004, 321 s

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1936年生まれの著者はコペンハーゲン大学教授でデンマークを代表する歴史家の一人。王立デンマーク学術会議(Det Kongelige Danske Videnskabernes Selskab)のメンバーでもある。もともと近世の社会経済史を専攻していた。

個人による通史はどの国にもあるように思われるが、デンマークに関してはどうだろうか。アマチュア著述家によるものは確かにあったが、訓練を受けた歴史家によるものは、ひょっとすると初めてかもしれない。図版も美しく、いたるところに歴史上の著名人のささやかな伝記コラムも組み込まれている。これは北欧の歴史教科書ではしばしば見る構成で、あちらの人にとっては当たり前かもしれないが、日本人にしてみれば新鮮である。

日本では歴史学を社会科学とみなして「個人なき社会経済史」に血道をあげていた奇妙な時期があり、教科書からも個人史が意図的に省かれてしまったように見えるが、歴史学というか歴史の基本は「個人」の活動の積み重ねであることはいまさら確認するまでもない。そろそろかつての行き過ぎに気づいて、歴史的人物の復権を唱えてもよさそうなものである。人文学と称しておきながら「人」がいないのは可笑しいでしょ。

本書はデンマークの歴史を「中世」、「貴族支配」、「絶対王制」、「市民統治」の四段階に分ける。政治体制の転換で時代を色づけるというまことに古典的な手法で、これはこれでわかりやすい。が、通読するに、著者の最も得意とするデンマークの海外展開と対外交流の記述が、「絶対王制」を除いて薄いように思った。薄いというのが言い過ぎならば、あまり前面に出ていないように思える。そういった意味では、網野善彦の『日本社会の歴史』(岩波新書)ほどの勢いはない。

日本でデンマークの通史を扱ったものと言えば私の知る限り、
ヘリエ・サイゼリン・ヤコブセン(村井誠人監訳)『デンマークの歴史』(ビネバル出版 1995)
橋本淳編『デンマークの歴史』(創元社 1999)
浅野仁・牧野正憲・平林孝弘編『デンマークの歴史・文化・社会』(創元社 2006)

くらいである。正直、いずれも記述のバランスがいいとはいえず、仮に私がデンマーク史の講義をするとしても、信頼できる「教科書」として推薦するまでにはいたらない。日本のデンマーク研究など、まだその程度である(とはいえ、北欧以外でデンマーク史研究者が二桁もいるというのは世界で日本だけであろう)。このフェルベックの通史を訳す人はいないのだろうか。そう売れるとは思えないのだけれども。

一巻本のデンマーク通史は実はもう一冊ある。
Benito Scocozza & Grethe Jensen, Politikens etbinds Danmarkshistorie. 3 udg. København: Politiken 2004, 541 s..

ポリティケンはギュレンダルと並びデンマークを代表する出版社であり、新聞社でもある。スココッサもイェンセンも同じくコペンハーゲン大学に勤務する歴史家。こちらはクロニクル風であり、フェルバックに比べると情報量も多い。何年に何が起こったかということを調べるためには至極便利。ただし、全体を通じて何らかの歴史観が出ているわけではないように思う。

ギュレンダル版もポリティケン版もどこの本屋でも山積みでたたき売りされているので、旅行のお土産として買っておいて損はないと思う。ことばは読めなくても図版は楽しめる。重いけど。


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