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Snorri Sturluson [Medieval Iceland]


Alois Wolf(hrsg.)
Snorri Sturluson. Kolloquium anläßlich der 750. Wiederkehr seines Todestages(ScriptOrlia 51).
Tübingen: Gunter Narr, 1993, 293 S.

Vorwort
- Snorri Sturluson and the saga school at Munkaþverá, by Theodore M. Andersson
- Tradition und Fiktion in der Heimskringla, by Oskar Bandle
- Gylfaginning und Theologie, by Heinrich Beck
- The sources of Skáldskaparmál: Snorri's intellectual background, by Anthony Faulkes
- Skaldenstrophen in der Sagaprosa. Bemerkungen zum Verhältnis zwischen Prosa und Poesie in der Heimskringla, by Bjarne Fidjestøl
- Das Herrscherportrait in Heimskringra: groß - schön, by Heinz Klingenberg
- Snorris Konzeption einer norischen Sonderkultur, by Klaus von See
- Das Háttatal von Snorri Sturluson, mündlich trotz Schriftlichkeit ?, by Stephen Tranter
- Snorri Sturlusons Verhältnis zu seiner Quellen und sein Mythos-Begriff, Berd Wolfgang Weber
- Skalds and situatonal verses in Heimskringla, by Diana Whaley
- Snorris Wege in die Vergangenheit und die Besonderheiten altisländischer Mündlichkeit und Schriftlichkeit, by Alois Wolf

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スノッリの死750年を記念してケルン大学で開催されたシンポジウムの記録。ドイツイギリスアメリカ、ノルウェーのアイスランド学の錚々たる面々である。

アイスランドサガ文献群最大の成果は、スノッリ・ストゥーラソン(1178-1241)による『ヘイムスクリングラ』である。スウェーデンの伝説的王朝イングリンガ朝の列記に始まり、1177年のエイステイン・メイラの死で幕を閉じる。スノッリは著述家であると同時にレイクホルトに農場を持つ有力豪族でもあり、13世紀アイスランド政治にも深く関与した。1218年、王座についたばかりのノルウェー王ホーコン・ホーコナルソン(在位1217-63)の招きに従ってノルウェーを訪れ、さらにスウェーデン・スカーラへも足を伸ばし、スウェーデンの実質的支配者ビリェル・ヤールの弟ヴェステルヨータランドのエスキルとも席を設けた。この経験がノルウェー王室史である『ヘイムスクリングラ』の編纂へとつながる。1225年前後である。スノッリが死んでほどない1262年、「古契約(ガムリ・サットマーリ)」によってアイスランドはノルウェーに併合され、その独立は1944年まで待たねばならない。

『ヘイムスクリングラ』の研究は論文も含めれば無数にあるが、簡便な手引きとして、
Diana Whaley, Heimskringla. An introduction. London: Viking Society for Northern Research, 1991, 167 p.

『ヘイムスクリングラ』、つまりスノッリの世界像を通じてみた同時代ノルウェーの社会システムや観念は、
Sverre Bagge, Society and politics in Snorri Sturluson's Heimskringla. Berkley: University of California Press, 1991, 339 p.

また、
阪西紀子「中世ノルウェーの『王のサガ』とフェーデ 『ヘイムスクリングラ』をめぐるナショナリズムの問題」『一橋論叢』118-2(1997), 235-51頁

『ヘイムスクリングラ』はアイスランド・アイデンティティの塊のような作品である。それは作品そのものに内在しているというよりは、後世の人間が意味を与えてきた結果である。ノルウェーへの併合という「不名誉な」歴史を経験する以前の偉大なる「共和国」時代の文学的精華。このような見方の最大の貢献者はヨーン・シグルズソン(1811-79)とシグルズル・ノルダル(1886-1974)であろうが、両者とも研究者であると同時に政治にも関わり、アイスランド文化の宣伝に努めた。ノルダルの著名な論文「スノッリ・ストゥーラソン」はスノッリの個人的才覚を讃えるが、テオドール・アンダーソンは『ヘイムスクリングラ』の出現は一人の天才による突発的事件ではなく、時間をかけてアイスランドで蓄積されてきたサガ作成経験の最終段階であったにすぎないと、アイスランド文学史上におけるスノッリの位置を相対化する。

アイスランドで一緒になったノルウェー人若手研究者は「我々は『ヘイムスクリングラ』でなく、『ノルウェー王の歴史』と呼ぶ。内容的に見てそうでしょ」と言い放ち、シグルズル・ノルダル研究所長のウルヴァル・ブラーガソンとエクスカーション先で衆人環視のもと激しく言い争っていた。これもある種のナショナリズムの発露か。そんな彼女も今年博士論文を仕上げた。
Randi B. Waerdahl, Norges konges rike og hans skattland. kongemakt og statsutvikling i den norrøne verden i middelalderen. Trondheim, 2006.

私の知る限り、同じ1991年に開催されたシンポジウムの記録がもう一冊ある。こちらはグライフスヴァルト大学が主宰し、受容史も含んでいる。おそらくスノッリの生地アイスランドや『ヘイムスクリングラ』の舞台ノルウェーでもなんらかのシンポジウムは企画されていたと思うが、その成果は寡聞にして知らない。
Hans Fix(hrsg.), Snorri Sturluson. Beiträge zu Werk und Rezeption(Ergänzungsbände Hoops RGA 18). Berlin: Walter de Gryuter, 1998,
Vorwort
- Ragnarøkr und der Kampf um Trója(Skáldskaparmál 87, 1 - 88, 3), by Heinrich Beck
- Snorri's Edda as narrative, by Margaret Clunies Ross
- Die Worttrennung am Zeilenende in Handschriften der Snorra Edda 23, by Hans Fix & Thomas Birkmann
- Vom Autor zum Kompilator. Snorri Sturlusons Heimskringla und die nachklassischen Sagas von Olav Tryggvason, by Jürg Glauser
- Snorri Sturluson and the Everlasting Battle, by Hermann Pálsson
- Hommage für Skúli Bárðarson, by Heinz Klingenberg
- Der Historiker Snorri: Autor oder Kompilator ?, by Kolbrún Haraldsdóttir
- Jacob Schimmelmann und der Beginn der Snorra Edda-Rezeption in Deutschland, Thomas Krömmelbein
- Der Dialog in Snorris Gylfaginning, by Edith Marold
- Literatur als historisches Argument: Einige Bemerkungen zum Nachwirken Snorris in Skandinavien vom 17. - 19. Jahrhundert, by Kurt Schier
- Zu Snorris Erzählstrategie in der Óláfs saga helga, Hans Schottmann
- Zur handschriftlichen Überlieferung der Werke Snorri Sturlusons, by Hubert Seelow
Snorri als Kosmograph, by Rudolf Simek
- Sprache und Religion im Prolog der Snorra Edda, by Ulrike Strerath-Boltz
- Snorri Sturluson als Hagiograph, by Sverrir Tómasson
- Bemerkungen zur Bildung und Semantik gelehrter Wörter und Wendungen in Snorris Heimskringla, by Ernst Walter

やはり私の寡聞だった。友人からアイスランドで研究集会は開かれていたという情報をもらった。それもシグルズル・ノルダル研究所主催のようである。
Ulfar Bragaron(rit.) 1992: Snorrastefna, 25. -27. juli 1990.(Rit Stofnunar Sigurrar Nordals 1). Reykjavik, 1992.

こういうのもあるらしい。
Vladimir Stariradev(ed.), Snorri Sturluson and the roots of Nordic literature. Papers of the international conference held at "St. Kliment Ohridski" University of Sofia, October 14-16, 2002 dedicated to the 10th anniversary of the Founding of the Scandinavian Studies in Bulgaria.

ISBNもあるので出版されているのだろうが、詳細はよくわからない。しかしなぜブルガリアで。まあ日本人で北欧の研究をしているというと必ず「なんで」と聞かれるわけだから、別にブルガリア人がスノッリのシンポジウムを開いてもおかしくはないわな。

写真はレイクホールトに立つスノッリ像。オスロ郊外フログネル公園の彫刻群で著名なグスターヴ・ヴィーゲランの手になる。


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