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A Companion to Old Norse-Icelandic Literature and Culture [Medieval Iceland]


Rory McTurk(ed.)
A Companion to Old Norse-Icelandic Literature and Culture.
Oxford: Blackwell, 2005, 567 p.

Notes on Contributors
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Introduction, by Rory McTurk
1. Archaeology of Economy and Society, by Orri Vésteinsson
2. Christian Biography, by Margaret Cormack
3. Christian Poetry, by Katrina Attwood
4. Continuity? The Icelandic Sagas in Post-Medieval Times, by Jón Karl Helgason
5. Eddie Poetry, by Terry Gunnell
6. Family Sagas, by Vésteinn Ólason
7. Geography and Travel, by Judith Jesch
8. Historical Background: Iceland 870-1400, by Helgi Porláksson
9. Historiography and Pseudo-History, by Stefanie Würth
10. Language, by Michael Barnes
11. Late Prose Fiction(lygisögur), by Matthew Driscoll
12. Late Secular Poetry, by Shaun Hughes
13. Laws, Gudmund Sandvik & Jón Viðar Sigurðsson
14. Manuscripts and Palaeography, Guðvarður Már Gunnlaugsson
15. Metre and Metrics, by Russell Poole
16. Orality and Literacy in the Sagas of Icelanders, by Gísli Sigurðsson
17. Pagan Myth and Religion, by Peter Orton
18. The Post-Medieval Reception of Old Norse and Old Icelandic Literature, by Andrew Wawn
19. Prose of Christian Instruction, by Svanhildur Óskarsdóttir
20. Rhetoric and Stylle, by Þórir Óskarsson
21. Romance(Translated riddarasögur), by Jürg Glauser
22. Royal Biography, by Ármann Jakobsson
23. Runes, by Patrick Larsson
24. Sagas of Contemporary History(Sturlunga saga): Texts and Research, by Úlfar Bragason
25. Sagas of Icelandic Prehistory(fornaldarsögur), by Torfi H. Tulinius
26. Short Prose Narrative(páttr), by Elizabeth Ashman Rowe & Joseph Harris
27. Skaldic Poetry, by Diana Whaley
28. Social Institutions, by Gunnar Karlsson
29. Women in Old Norse Poetry and Sagas, by Judy Quinn

Index

* * * * * * * * * *

便利な手引き。アイスランド系と英米系の研究者が中心に項目を執筆している。北欧とドイツもアイスランド学は盛んであるのだが、編者の交友関係の結果ということだろうか。だからといって質が低いわけではないのだが。

日本では北欧中世というと、どうしてもアイスランドということになる。9世紀にスカンディナヴィア人の一部が植民し、その後本国とは異なる「王」を戴かない歴史展開を経験し、エッダ、スカルド詩、サガそしてグラガースのような法資料群を生み出したこの島は、中世ヨーロッパ世界においても特異な位置を占めることは確かであり、大変魅力的な研究対象である。ただしこれを北欧社会どころかヨーロッパ社会の原型などと論じられると、そうかな、と思う。9世紀になって漸くの植民という社会的コンテクスト(そもそも植民者とはどういった集団であったのか)や緑の貧しい北縁の孤島(ただし孤立しているわけではない)という地理学的コンテクストからして特殊なのであり、紀元千年にはキリスト教も導入された。しばしば「平等主義的」だとか「農民社会」だとか「共和国」という形容もされるが、入植当初から社会階層は確実にあり、その結果政治において権力を行使できる在地有力者層が形成され、そのヒエラルキーに基づいた社会システムはその後他の社会とりわけノルウェーとの頻繁な交渉の中で刻一刻と変容している。スウェーデン(そしてロシア)との関係性を考慮しない中世フィンランド史が無意味であるように、ノルウェー(そしてブリテン北部)との交渉を捨象するアイスランド史も奇妙ではないかと思う。

本書にも執筆しているヨーン・ヴィーザル・シーグルズソンはアイスランド出身で現在オスロ大学教授であり、彼による博士論文がアイスランド中世社会再考の契機を与えた。

Jón Viðar Sigurðsson, Chieftains and Power in the Icelandic Commonwealth(The Viking Collection 12). Odense, 1999, 255 p.

本書は1993年に著者が提出した博士論文の英訳だが、出発点は1987年にベルゲン大学に提出したdissertationに遡る。

Jón Viðar Sigurðsson, Frá goðorðum til ríkja. Þróun goðavalds á 12. og 13. öld. Reykjavík: Bókaútgáfa menningarsjóðs, 1989, 159 s.

研究書にもかかわらず、イラストが掲載される不思議な本である。

一月だけ首都レイキャヴィークに滞在したことがある。アメリカ・ヨーロッパ戦略の橋頭堡であったケプラヴィーク空港からバスに揺られて1時間弱で都心から少し離れたホテル前に着く。アイスランド全人口30万人のうち、およそ17万人が首都近辺に住む(だったかな)。規模で言えば下北沢くらいの印象であり、ほとんど対面社会であった。北欧人は他のヨーロッパ諸国に比べても名前のヴァリエーションが少ないように思うが、アイスランドはことのほかで、この対面社会にあってもファースト・ネームだけでは区別ができない。家族名というのだろうか、父親の名前を覚えておく必要があり、男性であれば「~son(~の息子)」、女性であれば「~dóttir(~の娘)」をつけなければ、「お前、マリア、マリアいうてるけど、どこのマリアやねん」ということになる。親密圏の中にマリアだのグズルンだのが複数いるわけである。というわけで、次から次へと人と会う短期滞在者としては苦労した。ただし、たまに歴代の苗字を持っている家もあるようで、ノーベル賞作家のラクスネスとかアイスランド研究者のノルダルとかはそうなんじゃないか、とアイスランド大学の先生が言っていた。


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