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スカルド詩人のサガ [Sources in vernacular]


森信嘉訳
スカルド詩人のサガ(コルマクのサガ/ハルフレズのサガ)(東海大学文学部叢書)
東海大学出版会 2005 194頁

コルマクのサガ
ハルフレズのサガ
初期アイスランド文学概説
I. 散文によるもの
II. 韻文作品
III. スカルド詩人のサガ
IV. スカルド詩の技法
付録
訳者あとがき

* * * * * * * * * *

サガの邦訳はかなりある。サガの世界を人口に膾炙させたのは児童文学者であり『近代文学』同人であった信州の山室静(1906-2000)であり、原典からの翻訳に信じられないようなエネルギーを発揮したのは広島大学名誉教授のゲルマニスト谷口幸男(1929-)である。

山室静『アイスランド 歴史と文学』(紀伊国屋書店 1963),236頁
谷口幸男『エッダとサガ』(新潮選書 1976),253頁

この二人の存在がなければ戦後日本で「サガ」が知られることも、サガ研究者が生まれることもなかったのかもしれない。アーロン・グレーヴィチはサガに見える「農民世界」に狂喜したと言われるが、グレーヴィチをサガを引き込んだのは同じロシアの文献学者カメンスキイである。
ステブリン・カメンスキイ(菅原邦城訳)『サガのこころ 中世北欧の世界へ』(平凡社 1990),246頁

そのエッセイを読む限り増田四郎は当初より、堀米庸三も晩年になってアイスランドに傾斜している。洋の東西を問わずゲルマン社会への関心を持つものは、ほとんど憧憬とも言える関心をアイスランド、そしてそこで生産されたエッダ、サガ、グラガースに抱いてきた。それゆえに欧米では北欧学のなかでもアイスランド学は突出して深化した。もちろん、サガを読めばゲルマン社会の古い姿がわかるという見解は、「ゲルマン人」という概念に疑義が呈され、中世アイスランドにおける階層分化と社会変動が議論されている現在のヒストリオグラフィを鑑みれば、ややナイーブといえる。アイスランドはアイスランドであってそれが北欧を代表するわけではない。山室は逝き、谷口も高齢となったが、現在は本書の訳者も含めた日本アイスランド学会の会員が中心となり様々な形でサガの翻訳を進めている。一読者としてありがたい。あとは『ヘイムスクリングラ』の刊行が待たれる。

山室静訳『赤毛のエリク記 古代北欧サガ集』(冬樹社 1974),246頁
「赤毛のエリクのサガ」,7-42頁
「グリーンランド人のサガ」,43-67頁
「めんどりのトーリルのサガ」,69-109頁
「フレイの神官ラヴンケルのサガ」,111-50頁
「白熊のオードン」,151-62頁
「詩人スツーブの話」,163-69頁
「テント張りのトールステイン」,170-77頁
「ライ癩病やみのトールハル記」,178-81頁
「太っ腹のブランド」,182-84頁
「ゾッとしたトールステインの話」,185-90頁
「エグムンド・ディットとグンナール・ヘルミング」,191-208頁
「杖で打たれのトールステインの話」,209-20頁
「血のエギル記」,221-30頁
あとがき

山室静訳「イーサフィヨルド人ハーヴァルズのサガ」『歴史と人物』1972年10月号(中央公論社)

谷口幸男訳『アイスランド サガ』(新潮社 1979),862頁
「エギルのサガ」,5-153頁
「グレティルのサガ」,155-307頁
ラックサー谷の人びとのサガ」,309-438頁
「エイルの人びとのサガ」,439-531頁
「ヴォルスンガサガ」,533-600頁
「ニャールのサガ」,601-844頁
解説
参考文献

谷口幸男訳「ヨムスボルク・ヴァイキングのサガI ヴァイキングの片影」「ヨムスボルク・ヴァイキングのサガII ヴァイキングの片影」『形成』23(1964),2-19頁&24(1965),29-47頁
谷口幸男訳「フラヴンケルのサガ」『形成』36(1972),73-95頁
谷口幸男訳「ギースリのサガ」「ギースリのサガ(2)」『形成』37(1973),57-83頁&38(1974),85-109頁
谷口幸男訳「ユングリンガ・サガ(1)(2)」『形成』39(1976),77-96頁&40(1976),61-78頁
谷口幸男「殺しのグルームのサガ」『形成』43(1980)

日本アイスランド学会編訳『サガ選集』(東海大学出版会 1991),293頁
中島和男訳「アイスランド人の書」,1-19頁
大塚光子訳「めんどりのソーリルのサガ」,21-57頁
菅原邦城訳「蛇舌グンラウグのサガ」,59-108頁
谷口幸男訳「グリーンランド人のサガ」,109-35頁
早野勝巳訳「棒打たれのソルステインの話」,137-48頁
清水育男訳「ヴェストフィヨルド人アウズンの話」,149-59頁
八亀五三男訳「ハーコン善王のサガ」,161-201頁
西田郁子訳「勇士殺しのアースムンドのサガ」,203-29頁
坂西紀子訳「司教パールのサガ」,231-61頁
解説 熊野聰

菅原邦城・早野勝巳・清水育男訳『アイスランドのサガ 中篇集』(東海大学出版会 2001),202頁
菅原邦城訳「〈フレイル神ゴジ〉フラヴンケルのサガ」,1-39頁
早野勝巳訳「ヴァープナフィヨルドのサガ」,41-78頁
早野勝巳訳「ドロプラウグの息子たちのサガ」,79-119頁
菅原邦城訳「バンダマンナ・サガ 欺かれた首領たちの物語」,121-64頁
清水育男訳「〈赤毛〉のエイリークルのサガ」,165-98頁

菅原邦城訳・解説『ゲルマン北欧の英雄伝説 ヴォルスンガ・サガ』(東海大学出版会 1979),232頁

菅原邦城訳「フレイ神ゴジのフラヴンケルのサガ」『大阪外国語大学学報』21(1969)&22(1970)
菅原邦城訳注「蛇舌グンラウグのサガ(1)(2)」『大阪外国語大学学報』27(1971),57-81頁&31(1975),83-98頁
菅原邦城訳注・解説「オルコヴリの話」『大阪外国語大学学報』36(1976),61-76頁
菅原邦城訳「バンダマンナ・サガ 欺かれた首領たちの物語」『大阪外国語大学学報』39(1977),139-61頁
菅原邦城訳注「ソルリの話とヘジンとホグニのサガ」『大阪外国語大学学報』41(1978),111-30頁
菅原邦城「〈フレイ神ゴジ〉フラヴンケルのサガ(改訳・その1)(改訳・その2)」『大阪外国語大学学報』73(1986),53-67頁&74(1986),121-31頁
菅原邦城訳「ノルナ=ゲストのサガ」『世界口承文芸研究(大阪外国語大学)』8(1987)
菅原邦城訳「遠征王ユングヴァルのサガ」『世界口承文芸研究(大阪外国語大学)』9(1988)

石川光庸・早野勝巳・吉島茂訳「ヴェルスングのサガ 訳(1)」『慶應義塾大学商学部日吉論文集』16(1975),1-37頁
早野勝巳訳「棒打たれのソルステインの物語」『慶応義塾大学商学部日吉論集』20(1977),81-99頁
早野勝巳訳「ヴァープンフィヨルドのサガ 試訳(上)(下)」『慶應義塾大学商学部日吉論文集』22(1978),23-52頁&24(1979),51-71頁
早野勝巳訳「〈白〉のソルステインのサガ 試訳」『慶応技術大学商学部日吉論集』25(1980),50-70頁
早野勝巳訳「ドロプロウグの息子たちのサガ 試訳(上)(中)(下)」『慶應義塾大学商学部日吉論文集』27(1981), 30-49頁, 28(1981), 39-54頁&29(1982),56-69頁
早野勝巳訳「ヴァープンフィヨルド住民のサガ」『慶應義塾大学商学部日吉論文集』24-2(1987)

大塚光子訳『スールの子ギースリのサガ』(三省堂 1987),iv+221頁

大塚光子・西田郁子・阪西紀子訳「スヴェイビョルンの息子フラヴンのサガ(前)(後)」『相模英米文学』11(1993)&12(1994)
大塚光子・西田郁子・阪西紀子訳「ヴィーガ=グルームのサガ(前)(後)」『北欧史研究』12(1995),74-93頁&13(1996),115-31頁
大塚光子・西田郁子・阪西紀子・伊藤盡訳「大物グズムンドルのサガ(前)(後)」『北欧史研究』15(1998)&18(2001),42-53頁

伊藤盡訳「アドルフ・ノレーン編フヴィンのショーゾールヴ『ユングリンガ・タル、あるいはイングリング列王詩』(前)」『杏林大学外国語学部紀要』17(2005),197-224頁

植田兼義訳『ニャールのサガ』(朝日出版社 1978), 386頁

松谷健二訳『中世文学集 エッダ/グレティルのサガ』(ちくま文庫 1986; 筑摩書店 1971)


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