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A History of Old Norse Poetry and Poetics [Medieval Iceland]


Margaret Clunies Ross
A History of Old Norse Poetry and Poetics.
Woodbridge: D. S. Brewer, 2005, 283 p.

Acknoledgements
Editorial Note
Abbreviations

1. Introduction: The Old Norse Poetic Corpus
2: An Indigenous Typology of Old Norse Poetry 1: Technical Terms
3: An Indigenous Typology of Old Norse Poetry 2: Genres and Subgenres of Skaldic Verse
4. Circumstances of Recording and Transmission: Poetry as Quotation
5. Old Norse Poetic Aesthetics
6. The Impact of Christianity on Old Norse Poetry
7. Poetics and Grammatica 1: The Twelfth Century
8. Poetics and Grammatica 2: The Edda of Snorri Sturluson
9: Poetics and Grammatica 3: The Third and Fourth Grammatical Treatises
10. The Icelandic Poetic Landscape in the Thirteenth and Fourteenth Centuries
11. Conclusion

Appendix: Snorri Sturluson's View of Figurative Language
References
Index

* * * * * * * * * *

 シドニー大学教授をつとめる著者による、2000年から翌年にかけてボン大学での講義ノートに手を加えたもの。スカルド詩人という、9世紀から14世紀ごろまで北欧の各宮廷に存在した職能人が謡う詩の修辞作法を概観する。古ノルド語の詩学に関しては20世紀初頭のフィンヌル・ヨンソンをはじめ膨大な研究蓄積があるが、その多くは北欧語で書かれており、最新の研究動向を反映した著作が英語で出版されるのは喜ばしい事である。文学・文献学の専攻であるため、歴史学者にはやや理解が難しい議論もあるが、それでも面白い。
 
スカルド詩は長らく、20世紀初めのフィンヌル・ヨンソン、もしくは20世紀半ばのコックの刊本を下敷きに研究が進められてきたが、2006年より本書の著者が中心となって新しい版、それも英語の対訳の刊行が始まる。本書はその前哨でもある。
 
スカルド詩の研究は、北欧語圏だけでなく英米圏やドイツ語圏の研究者の協力によって着実に進歩しているが、スカルド詩人そのものやスカルド詩が語られるコンテクストという歴史学的な研究は極めて少ない。音声が特別な意味を持つと考えられる前期中世社会において、詩の果たす役割、とりわけ宮廷における役割は小さくないはずだが、ポスト・ローマ世界のラテン詩であるにせよ、アイルランドの古アイルランド語詩であるにせよ、アングロサクソン世界の古英語詩であるにせよ、歴史家の注意を十分に引いているとはいえない。それでも一番進展しているのは、古英語のベーオウルフ研究であろうか。ラテン詩ではピータ・ゴドマンという古典学を修めた研究者が、カロリング宮廷での詩の研究を行っていたが、最近はルネサンス期に活動の舞台を移してしまったようである。
Peter Godman, Poets and emperors. Frankish politics and Carolingian poetry. Oxford: Clarendon Press, 1987, 199 p.

やはり同じく音声が重要な役割を果たす典礼研究とともに、世俗韻文研究も進められるべきであるように思う。

アングロサクソン世界の韻文に関して小著ながら、歯切れよくまとまっているのが、
唐澤一友『アングロ・サクソン文学史 韻文編』(東信堂 2004), 259頁

1973年生まれというから大変若い。古英語の世界にも、新世代が登場したようである。「散文編」の早期登場を願う。


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